医療コラム(1)

薬害肝炎

出産や手術の際に、血液製剤が止血剤として頻繁に使われていました。
1969年から1994年頃までに、出産された方、手術を受けられた方には、知らない間に血液製剤が投与され、C型肝炎になった人がいます。
平成20年1月11日 薬害肝炎救済法が成立されました。
一人でも多くのかたが救われることを願います。

今回はC型慢性肝炎についてよく質問されることがらについて書いてみました。

Q1 C型慢性肝炎とはどんな病気ですか?

A1 C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルスの感染により肝臓に障害が起こる病気で、初期には症状はほとんどありませんが、病気が進行すると様々な症状がみられます。従って、過去に輸血をしたことがあるとか、あるいは医療機関で手術をしたことがあるとか、家族に肝臓の悪い人がいるときは注意が必要です。


Q2 C型慢性肝炎を治療しないとどうなりますか?

A2 C型慢性肝炎は大部分が進行性で、知らないうちに肝硬変、肝がんへと進んでいってしまいます。いったん、肝がんになってしまうと、その5年生存率は切除手術をしても50%くらいという恐ろしい病気です。


Q3 C型慢性肝炎はどのように診断しますか?

A3 肝機能検査[AST(GOT)値、ALT(GPT)値)]と各種ウイルスマーカーを用いた検査によって、C型慢性肝炎であるかどうかが診断されます。これらの検査はいずれも血液を調べるだけでわかる簡単な検査です。


Q4 肝炎の進行の度合いはどのように調べますか?

A5 肝硬変と慢性肝炎の判別はAST(GOT)値/ALT(GPT)値の比、血小板や肝予備能などの検査、そして超音波、CT/MRIなどの画像検査によって総合的に判断します。


Q6 どのような治療法がありますか?

A6 C型慢性肝炎の治療には、C型肝炎ウイルスを体内から排除して完全治癒を目指す原因療法と、肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ対症療法(肝庇護療法)があります。


Q7 インターフェロン療法について教えてください。

A7 インターフェロン療法により、患者さんの30%でウイルスの完全消失が認められています。またウイルスの完全消失がみられなくても、肝硬変や肝がんへの進行がくい止められます。またインターフェロン療法を受けた患者さんの約2/3で、生命予後の改善が得られています。そういったことから、C型慢性肝炎の患者さんにはインターフェロン治療を行う意義はあると思います。


Q8 肝硬変や肝がんにならないためにはどうすればいいですか?

A8 肝硬変や肝がんへの進行を抑えるためには、まずインターフェロンで慢性肝炎を治してしまうことが第一です。それができなければ、2番目としてAST(GOT)値、ALT(GPT)値をできるだけ低い値に抑える治療を行います。こうした治療によって、大部分の患者さんで、肝硬変や肝がんへの進行をくい止めることができます。


Q9 ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法について教えてください。

A9 ペグインターフェロンにリバビリンを併用することでその効果が大きく高まることが明らかとなりました。しかもペグインターフェロンは週1回の投与で安定した効果を発揮することから、海外ではペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が、C型慢性肝炎の患者さんの標準的治療法となっています。


Q10 インターフェロン療法、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の副作用について教えてください。

A10 インターフェロン療法の主な副作用は、インフルエンザ様症状などです。ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法では貧血、注射部位症状が加わりますが、いずれも十分にコントロールでき、多くの場合は問題なく治療を続けることができます。


Q11 どのような患者さんがペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を受けられますか?

A11 従来インターフェロンが効きにくいとされていたウイルス量の多い患者さんと、前回のインターフェロン療法が無効または再燃した患者さんが対象になります。妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、すぐにお子さんをつくりたいという方は使用できません。


Q12 日常生活でどのようなことに気をつければいいでしょうか?

A12 C型慢性肝炎の患者さんでは日常生活に特別な制限はありませんが、病気だという自覚をもち、定期的に診療を受けることが大切です。